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ニュースレター 2026年3月

自分のタイムラインで生きる

© Chizu Matsushita (1500 x 1000 px) (1).jpg

ここオランダでも日が長くなり、日に日に春を感じます。
 

ここ南ホラント州では先週、「クロッカス休暇」と呼ばれる春休みがありました。私の家族では、春休みにスキー旅行に行くのが、ここ五年ほど習慣になっています。ということは、私のスキー歴も五年ということになります。

 

今回も一年ぶりのスキーでした。初日に何の「慣らし」もなくゲレンデに立ったにもかかわらず、意外と体がよく動いたことに自分でも驚きました。

 

ここ数年、普通に滑れるようにはなったものの、どこか頭打ちの感覚がありました。なんとなく、思うように滑れない感覚があり、変な癖がついてしまったという感じもしていました。そこで昨年、二時間のレッスンを受けてみました。スキー歴49年という先生に教わり、最初の二十分ほどでその「頭打ち」はあっという間に、あっけないくらいに解消されてしまいました。その時のことはこのブログポストの後半に書きました。

 

そして今年、滑り出してすぐ、一年前に習った動きを体が自然にしていることに気づきました。え〜、忘れていなかったんだ、と嬉しくなりました。

 

学びに終わりはない

 

五十歳を過ぎて始めたことが、ここまで自分の中に定着していた。最初の一年、「一人部活」と称して屋内スキー場に通い続けたことが基礎になっているのは確かです。それでも、その後は年に一度しか滑っていなくても、体は覚えているのだという事実に、年齢に限らない、学びと練習の力を改めて感じました。

 

もう一つ改めて強く感じたのは、一年前ブログポストに書いたように、「師」から学ぶことの意味です。

 

自習や独学にももちろん価値があります。しかし、その道を長く歩み続け、技術だけでなく姿勢や哲学まで体現している人から直接学ぶことには、自己流の積み重ねとは異なる深みがあると思います。

 

五年前、家族での初めてのスキー旅行を前に、屋内スキー場でレッスンを受けた時、若い先生がこんなことを言っていました。

 

「レッスンからまなぶことはいくらでもあるよ。どんな上級者でもね。」

 

今回の旅行でも、上級スノーボーダーの友人親子が、地元クラブで一年中トレーニングを続けていると聞きました。

 

「まだ学ぶことがあるの?」と尋ねると、

 

「もちろん!いくらでもあるよ。」

 

との返事。"Oh yeah - There are still tons of things to learn!" だそうです。

 

どんな分野にも、学びに終わりはないのですね。

コーチングも、ファシリテーションも、オランダ語も、親としてのあり方も、人としての在り方も。学ぶことに終わりがないのと同じように、自分の内側を理解していくプロセスにも、終わりはないのだと思います。

 

自分のタイムラインで生きる

 

コーチングの場で、こんなお言葉を耳にすることがあります。

 

「友達に、早く〇〇した方がいいんじゃない、と言われて焦っている。」

「ライバルだと思っている人が△△していると知って、先を越された気がして落ち込んだ。」

 

知り合いが博士課程を始めた。自分もやるべきなのだろうか、と揺れ始める。


任期を終えて帰国した。早く「就活」を始めた方がいいと言われ、気持ちが落ち着かない。

 

一見すると、進学や就職という具体的な選択の問題のように見えます。しかし実際には、その行動というよりも、背後にある前提や規範が感情を動かしていることが少なくありません。

 

・一定のタイムラインに沿うべきだという暗黙の前提
・他者との比較を通じて自己価値を測る構造
・「遅れてはいけない」という社会的な圧力

 

こうした枠組みは、制度や文化の中で形づくられ、私たちの中に静かに内面化されているようです。そして、それが焦りや落ち込みという形で現れることがあります。

 

たとえば「就活」という言葉。この言葉から、どのようなエネルギーを感じるでしょうか。私の場合は、

 

同じ時期に一斉に動き出すこと。
競争の中で選ばれること。
時期を逃さないこと。

 

と、こんなことを感じます。この枠組みには一定の合理性があるかもしれませんが、同時に、それが唯一の選択肢であるとは限りません。

 

大切なのは、こういった規範と自分の価値観とが整合しているかどうかを改めて見つめてみるということです。

 

焦る。
悔しい。
取り残されたような感覚。

 

その感情を、まずは認識する。そう感じる自分を、まずは認めてあげてください。そしてその感情を、大事にしてみてください。「あ、自分は今、焦っているな」「悔しいっていう気持ちがあるな」。それが最初の一歩です。

 

そのあとで、

 

・どの前提を、どんな社会的規範を、当然のものとして受け入れていたのか。
・それとは別に、自分が本当に大切にしたい価値観は何だったか。

 

そこを見つめてみると、「今すぐ動かなければ」という焦燥感ではなく、より落ち着いた選択肢が見えてくるはずです。

 

誰かのタイムラインではなく、
社会規範に乗ったカレンダーでもなく、
自分自身がこれから大切にしたいと思っている価値観に基づいて選択する。

 

コーチング会話では、このプロセスを、伴走者としてサポートします。

 

お知らせ

 

11月から始めた「場づくりをめぐる対話サロン」、3月は日本語での開催です。
3月5日木曜日、日本時間午後9時、中央欧州時間午後1時開始です。

 

今回のテーマは、「心理的安全性」― 安心して問いや違和感も声にできる空間 ―

 

オランダの職場では、「心理的安全性」に加えて「社会的安全性(ソーシャル・セーフティー)」という言葉もよく耳にします。似ているようで異なる二つの概念。場づくりにおいて、それぞれがどのような意味を持つのか。

 

ぜひ、ご一緒に対話できれば嬉しく思います。

 

場づくりをめぐる対話サロンは、ファシリテーターとして活動している方だけでなく、仕事や活動の中で対話を扱う方、そして関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。

 

一度こちらにご登録いただけますと、各回の1〜2週間前にご案内をお送りします。

 

みなさまとお会いし、対話することを楽しみにしております。

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