アドバイスしない、それがコーチング
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- 2022年5月16日
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コーチからクライアントさんへ何らかのアドバイスをするのがコーチング会話だと思っていらっしゃる方がいらっしゃると思います。
前回少し書きましたが、ライフコーチは助言、指導をするのでもなければ、特定の知識やスキルの伝授をするものでもありません。「あなたはこういう状況にいらっしゃるようなので、こうしてみたらいかがですか。」とすら言いません。コーチはアドバイスをするプロフェッション(職業)ではないのです。
かく言う私も、コーチングについてぼんやりとしか知らなかった時には(ほんの二年半前くらい前ですが)、「ライフ」コーチと言うからには、こちらの事情や課題を聞いてくれた上で何らかの「指針」を示してくれるんだろう、と思っていました。そして、コーチはその課題分野での専門家、少なくとも多くの経験を積んだ人なのではないか、そうあるべきなのではないか、と。
自分もそうでしたから、私がコーチをしていると聞いた人が、今、たとえある課題を持っていたとしても、その課題の専門家ではない私をコーチとして考えることができなくても仕方がないかな、と思っています。
さらには、これを読んでくださっている、私を直接には(まだ)知らないかもしれないあなた。あなたが日々抱えている、何か悶々としている課題があるとしたら、その課題についての専門家には見えない私を、コーチと考えることができるでしょうか。
課題として例を挙げてみると、子育て、教育、海外移住、オランダ生活、転職、引っ越し、シングルマザーとして生活していくこと、仕事でリーダーとして力を発揮すること、バーンアウトを克服すること、国連職員になるには、等、あらゆることが考えられます。私はこれらのことに専門知識を持っているかもしれないし、経験をしているかもしれないけれど、それはこのホームページからは、はっきり分からないかもしれないですよね。
コーチングにはある一定のスキル(技術)セットがあり、そのスキルを習得してかつコーチングに生かしてきたという経験、それこそがコーチとしての力の差となります。特定の分野での専門知識や経験よりも、コーチとしてのこの力量こそが大切です。
では、アドバイスをしないはずのコーチにも、いわゆる「ニーシュ(niche)」、つまり特定の得意分野があるのはなぜでしょうか?
ニーシュ分野では、コーチ・クライアントの関係の核になる、信頼関係を築くことができやすい、ということにあるのではないかと私は思っています。
例を挙げてみます。
今現在、人道援助の現場で奮闘されている方が、今後のキャリア形成や家族生活とのバランスなどについて日々考えていらっしゃるとします。この方にとっては、まさにその経験をしてきた私がコーチであれば、現場での仕事や生活の大変さ、孤独感といった感情を伝えやすい、伝えてすぐに共感を得られる、その上で、「真に寄り添った」コーチングを受けている、との安心感を得やすい。少なくともクライアントさんの側から考えてみると、こんな風に言えるのではないかと思います。
クライアントさんに本当に寄り添う、これはコーチングの大切なスキルの一つです。(このスキルについては改めて書いてみようと思っています)。
スキルということは、習得・鍛錬することが可能で、たとえクライアントさんの経験していらっしゃることをコーチ自身が経験したことがなくても、スキルを持ったプロのコーチである以上、寄り添ったコーチングをすることはできるはず。
だとすると、ニーシュ分野で奮闘していらっしゃるクライアントさんに寄り添うというそのスピード感。これだけがその分野を得意とするコーチとその他のコーチの違いなのでは、そう思います。
一方で、コーチが何かの専門家や、ある役割の経験者であることは大いにあり得ることです。私の場合は国際機関の職員として現場での仕事をしてきたこと、シングルマザーに育てられ、自分もシングルマザーだったことなどです。
でも、コーチはその専門分野や経験にもとづいて、コーチング会話で「私の場合はこうで、こうやりましたので、あなたもそうしてみてはいかがでしょうか。あなたの今のそのやり方ではああなってしまう可能性が高いですよ。」などとは決して言いません。
コーチの専門分野・知識、過去に経験してきたことは、そのコーチの「背景」としてはあっても、コーチングのスキルとしてはほとんど関係がない、コーチング会話の質に影響するものではない、と言えるのです。
私のメンターコーチであるカーリー・アンダーソンさんは、コーチとしてのスキルを本当に発揮するには、むしろ自分の専門外の分野での課題を持つクライアントさんをコーチした方が良いくらいだ、とまでおっしゃっています。自分の専門分野やニーシュ分野のコーチングをすると、ついクライアントさんとの会話をリードすることになってしまったり、自分の経験から話し(たくなっ)たり、アドバイス的な話し方になったり、というコーチングではないものになってしまう可能性が高いから、ということなのだろうと私は理解しています。
いかがでしょうか。
あなたが今必要とされているのは、ライフコーチでしょうか。
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