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ファシリテーションの力:タンザニアでの活動が国際アワードを受賞(タンザニア②)

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  • 17 時間前
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合計18のフォーカスグループの一つ
合計18のフォーカスグループの一つ

昨年(2025年)の10月、3T(スリーツリーズ)の活動のサポートで、タンザニアのモロゴロとタンガの二つの州に行きました。

スリーツリーズは、大規模な自然再生型の森林再生活動に取り組む会社です。アグロフォレストリーのプロジェクトを通じて、炭素の除去、生物多様性の回復、そして地域コミュニティの経済的な機会づくりを進めています。環境への貢献と地域社会の支援を結び付けながら、長期的な気候対策を実現しようとしている会社です。

私がさせていただいたサポートには、主に二つの目的がありました。

一つ目は、3Tの大切な理念の一つである、本当にコミュニティーの人々が求めているアグロフォレストリーを促進するために、PRA(参加型農村評価)をデザインし、実施すること。

もう一つは、2025年中に発足した3Tタンザニアチームと、3Tグローバルチームとのチームビルディングをお手伝いすること。

つまり、コミュニティーの人々と直接関わりながら、気候変動に対する取り組みを推し進めていくという、とても大切で意味のある活動に、「ファシリテーター」としてのスキル、「コーチ」や「メディエーター」としてのマインドセットやアプローチを活かしながら、「コミュニティーの人々と直接、協働する」というこれまでの経験から得た知見による貢献もさせてもらえる、という、私にとってはまさに現在の「パッション」を体現できる機会だったのです。

そして、実は・・・

このタンザニアでの3Tの二つの活動が評価され、ファシリテーション・インパクト・アワードという、国際的なファシリテーションに関するアワードの銀賞を受賞しました!

ファシリテーション・インパクト・アワード(以下、アワード)は、カナダに本部のある国際ファシリテーターズ協会(IAF)が出しているもので、「ファシリテーションを用いてポジティブで、具体的に示すことのできるインパクトを生み出した団体に贈られる」ものです(英語になりますが、詳細についてはこちらのページを参照ください)。



アワード受賞の意味するもの

スリーツリーズは、これまでもタンザニアだけでなく、ガーナ、ルワンダで活動しており、PRAを通じてコミュニティーとの関わり(エンゲージメント)を深め、チームビルディングをしてきています。つまり、昨年10月のタンザニアでの活動によって、初めてコミュニティーとの関わりについて見直したわけでも、職員間のコミュニケーションのことを考えたわけでも、もちろんありません。

今回の受賞が意味するところの核心は、私自身はこんなところだと思っています。

まず、これまでのPRAやチームビルディングのしかたについて、一歩立ち止まって振り返り、見直してみよう、という姿勢があったこと。つまり、私がとても大切だと考えている、リフレクション(内省)してみるという姿勢です。

次に、自分たちにとって別に新しくも何でもないPRAという手法を、ファシリテーションという専門分野で培われてきた実践(ベストプラクティス)や、ファシリテーターに求められる能力(コア・コンピテンシー)という視点から改めてまなび、今までよりもさらに質の高い、真のコミュニティーとの関わりを目指してみよう、という姿勢。

そして、内部のコミュニケーションを改善しよう、という姿勢。グローバルチーム(いわゆる外国人のスタッフ)と国内スタッフという、普段はオンライン以外であまり顔を合わせることのない、でもその協働がプロジェクトの質に直接影響を与えるスタッフ間のコミュニケーションをより良くしよう、そのために、第三者であるファシリテーターの力を借りてみよう、という姿勢。

こういった「姿勢」そのものが、賞賛に値します。これは、組織をマネージメントする上で、それなりの勇気と意思がなければ有り得ない姿勢だと思います。多くの組織は、たとえスリーツリーズのように若い世代が中心で、かつ環境問題などの社会問題に関わるインパクトセクターの組織であっても、本当に組織をもっともっと良くして、活動のインパクトを高めていきたい、という強い意志がなければできないことなのではないでしょうか。

組織の目指しているものが素晴らしいもの、社会的に大切なことであればあるほど、自分の組織のやり方を見直したり、コミュニケーションを改善しようとしたりする姿勢を持つことすら、なかなかないことかもしれません。見栄だったり、これまで築いてきた名声だったり、あるいは、取引先などの外部からどう見られるかを気にしたり。受賞は、スリーツリーズの組織運営やリーダーシップのあり方への賞賛である、と言えると思います

実は、タンザニアでの活動をサポートさせていただいたこの機会は、スリーツリーズのグローバルチームで働いていらっしゃる、松尾美佐紀さんと以前から知り合いだったことがきっかけで実現したものでした。「秋にタンザニアに出張する・・・」、しかも、目的の一つがPRAだという言葉をお聞きして、「ぜひ一緒に行かせて欲しい、手伝わせて欲しい」と強く感じたことが始まりでした。そんな私の唐突とも言えるお願いを聞き入れてくださり、そして、活動のことをファシリテーション・インパクト・アワードに応募するつもりだ、というアイデアも受け入れてくださった美佐紀さんをはじめ、スリーツリーズのグローバルチームの方々、そしてあたたかく迎えてくれたタンザニアチームの皆さんには、今でも心からの感謝でいっぱいです。


空の淡い色が懐かしく
空の淡い色が懐かしく

参加型プロセス

コミュニティーで、チームで、組織で、何かについて対話したり、あるいは、何かを決めるために話し合いをしたり、意見を出し合ったりする、その一連の流れを「参加型プロセス」と言います。

自分の生活に影響を与える何らかのことについて、自分の考えをたずねられ、意見を聞いてもらう。そのこと自体に大切な意味があり、それが「参加型」と言われるゆえんです。真に参加することではじめて、意見やアイデアを共有し、それを聞いてもらう機会が生まれるからです。これは、聞かれたアイデアが採用されるかどうか、自分の意見が最終的な決定に反映されるかどうか、とは関係のないものです。反映されるか、決定事項になるのかどうかに関わらず、参加そのものに大きな意味があります。

だとすると、その参加の場をどうデザインするか、ということはかなり重要になります。場によっては、参加する人々にとって、意見やアイデアを言えない場、言いたくない場になるかもしれないからです。

参加者が皆、意見を言える場になるようにデザインすることは、場をつくる側の最も大切な責任です。主催者本人やその組織だけがデザインするのではなく、外部の「ファシリテーター」というプロセスのプロを雇い、協働する、という手があります。

過去に人道支援という仕事をしていた時、この「参加型プロセス」の場づくりの大切さを実感して、そのたびに心を震わせていました。一番好きな仕事だった、と言えます。

場づくりが上手くいった時は、参加者が深く真剣な面持ちで自分の未来について思いを馳せ、じゃあ今ここでどんなことができるか、どんなことが必要になるかを真剣に考えているという、その場のエネルギーを感じました。

場づくりが上手くいっていない時は、いつも話しているコミュニティーの代表者がなんとなくそれらしいことを言うだけだったり、この議題についてはあの人のアイデアが大切だし、アイデアを持っていることもわかっているのに、という人が、どうでもいいやという感じで沈黙してしまっていたり。

そんな時、場がそうなってしまう責任は、まず、場づくりをする側にあります。例えば、参加者のグループ分けを、そのコミュニティーの特徴や歴史にふさわしい形で行ったのかどうか。ファシリテーターの使ったプロセスのツールは、そのコミュニティーにとってふさわしいものだったのかどうか。こういったことを振り返ってみる必要があります。

十月のタンザニアでのプロジェクトでは、結果的には、合計18のフォーカスグループでPRAを行い、233人の人々が参加しました。

こういった数字は表面的な「結果」の一部は示しますが、このグループをどういう分け方にしたのか、PRAではどんな質問を用意し、どのような問いかけがなされたのか、ファシリテーターは中立を保っていたのか、18の各グループで、全員が満足する参加の仕方になったのか。本当に大切なのはそういうことです。

フォーカスグループの一つ
フォーカスグループの一つ

内部コミュニケーション

プロジェクトのもう一つの目的は、3Tタンザニアチームとグローバルチームとの間の信頼、連帯、効果的なコミュニケーションを強化し、物理的、心理的な距離をこえて、プロフェッショナルな協働を可能にすることでした。

二つのチームの信頼関係の再構築を目指し、なぜコミュニケーションが滞ったのか、なぜ信頼関係にひびが入ったのか、といったことを、ファシリテーターの問いかけを通して振り返りました。

結果として、タンザニアチーム内の役割と責任の分担がより明確になり、グローバルチームとのコミュニケーションや連携の方法についても、双方が納得する形で合意することができました。

プロジェクトの後には、タンザニアチームの全員が、改めてモチベーションを感じ、自分がどのように貢献できるのかが明確になったと言ってくれました。グローバルチームからも、自らのリーダーシップを振り返り、プロジェクトの共通目標に向けて改めて方向性を整えることができた、という声がありました。

そして、それまでやや分断されていた連携から、チームとしてまとまりを持ち、前を向いて実施に取り組む姿勢への変化が見られました。 それによって、PRAのデザインと現地での実施も予定どおり進めることができただけでなく、新たな連帯感と3Tの仕事への情熱を持って取り組めるようになったようです。

スリーツリーズがアワードを受けたプロジェクトの詳細、そして写真のギャラリーはこちらからみることができます(英語)。


山道をくだる
山道をくだる

ファシリテーターとして

ファシリテーション・インパクト・アワードは、ファシリテーションの力を信じ、それを改めてしっかりと認識した上で活用し、この二つのプロジェクトでファシリテーションの力を十分に味わい、そしてその結果を謙虚にしっかりと受け止め、次につなげている、まさに私がどんな組織に対しても推奨したい「内省型リーダーシップ」を体現しているスリーツリーズという組織に対して贈られたものだと思います。

私は、そこに関わったファシリテーター、という役割、位置付けです。私にとって、スリーツリーズのこの受賞は、私がこれまでパッションを持ってやってきたこと、そして、これからますます力を入れていきたいと思っていることについて、「ああ、やっぱりこれでいいんだ、間違っていないんだな」と激励してもらう形になったと感じています。

参加型プロセスの大切さ、チームビルディングの奥深さ、そしてそこに関わるファシリテーションの偉大さを再確認させてもらいました。これは、本当に力強い勇気づけになりました。


仲間からの言葉

このプロジェクトで一緒に活動した仲間からファシリテーターとしての私の仕事についてありがたい言葉をもらい、気が引き締まる思いです。

仲間の一人、タンザニア人のメリッサさんからいただいた言葉です(私の言葉で日本語に訳しています)。

チヅのもたらしたインパクトは、その場にいれば誰もが感じられるものでした。とても穏やかで観察眼があり、真に聴くことができる方です。

最初はチーム内に異なる働き方や暗黙の期待がありましたが、彼女がいることで、会話が自然と開いていきました。無理がなく、押しつけがない。気づけばチームがひとつの方向へ、共通の理解をもって動き始めていました。

PRAの活動では、彼女が人とどうつながるかを間近で見る機会がありました。コミュニティの人々がリラックスして、オープンに、本当に積極的に関わっていました。

堅苦しいプロセスではなく、自分の言葉で話せる、ちゃんと聴いてもらえる、そんな場でした。それが、とても早く信頼を生み出していました。

最も印象的だったのは、彼女が場をコントロールしようとしないのに、すべてが自然に流れていくことです。深く聴き、他の人が見落とすものを拾い、しっかりと意図をもって導く。

チヅさんと仕事をして、ファシリテーションが忍耐と敬意と静かな自信をもって行われるとき、どれほど力強いものになるかを知りました。


タンザニアで思ったこと

アフリカに行って仕事をするのは実に十七年ぶりだったため、浮かんでくる思いや感覚などが色々と交錯しました。それについては「17年前と変わったこと(タンザニア①)に記しています。


「対話と参加型プロセス」サポート

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