コーチングと癒やし
- Author
- 9月28日
- 読了時間: 3分

「コーチングでは、癒やしを目的とする、心理専門家によって行うカウンセリングといった心理療法行為を行うことはできません」という但し書きを目にされたことがありますか?
これは、実はコーチとしては必ず心得、肝に銘じておくべきことで、コーチとしての倫理規定等にもしっかり記述されているものです。コーチングをお考えの方が、実はコーチングではなく、もっと臨床的なサポートを必要とされている場合があるからです。当然のことながら、そのような方にコーチングを提供すべきではありません。コーチングよりまず先に、その方にとって必要なサービス、介入(インターベンション)があるからです。
一方で、コーチングからは「癒やし」は得られないのでしょうか。
これはもちろん、癒やしをどう捉え、定義するかによります。医療、臨床的な意味での治療、治癒、そこへのプロセスという意味での癒やしは得られません。
ただ、もっと日常的な意味での癒やし、それは得られます。
国際コーチング連盟が発行した「Referring a Client to Therapy(クライアントをセラピーに紹介する)」というガイドラインがあります。そこでは、コーチがクライアントをセラピーへ紹介する目安として、メンタルヘルスの状況が日常生活の機能に影響を与えている時(Mental health issues interfere with daily functioning)だと言っています。
それはたとえば、極度の不安、抑うつ、PTSD、薬物依存、自殺念慮、思考障害などの状態です。
私は体験セッションなどでコーチングとセラピーの違いについて説明する際、こうお伝えしています。コーチングは、現在やこれまでを振り返りつつも、これからどう前に向かって、未来を見ていくかに取り組むもの。セラピーは、過去にあったことによる心の傷を癒やすために、過去と向き合うもの。
コーチングを提供する中で、セラピストへの紹介(レファーラル)をさせていただいたことが私にも何度かあります。
体験セッションを受けていただいた時点で、もうそこで紹介させていただいた場合もありますし、コーチングをしばらく続けていて、ある時から前向きであることがまったく難しくなり、紹介に至ったこともあります。また、過去のトラウマに向き合うためにセラピーを受けつつ、私とは未来を見つめたコーチングをする、という方も。
コーチングが適切かどうかの判断として決定的なのは、やはり「日々の生活を普通に送れているかどうか」です。
燃え尽き症候群、職場や学校でいじめに遭っているーこれはボーダーラインでしょうか。その「状況」がクライアントさんのマインドセットにどのようなインパクトを与えているか。常に涙が出ている、希死念慮がある、自傷行為がある、といった場合には、セラピストへの紹介をさせていただいてきています。
一方で、日々の生活を普通に送ることはできている。いろいろ辛いことはありつつも、未来に向かって一歩一歩進んでいきたい、行こうとしている。そういう方にはコーチングは大切な「癒やし」となると思います。
ご自身の考えていること、思っていることについて、いっさい批判せずに(ノンジャッジメンタルに)傾聴する相手に向かって存分に話す、言葉にする―それだけでも、どれだけの癒やしになるか。コーチは時に「サウンディングボード」となるだけで、クライアントさんにとっては大切な癒やしとエンパワメントの時間になり得るのです。
今の自分に必要なのはセラピーかもしれないけれども、コーチングにも興味があるし、できそうだと思う。そんな場合には、しっかりとしたトレーニングを受けた経験豊富なコーチの体験セッションを受けてみられることをおすすめします。
しっかりとした訓練を受け、倫理規定をしっかりと守っているコーチであれば、きっとあなたに必要な介入(インターベンション)の指針を示してくれることでしょう。
私の体験セッションはこちらからどうぞ。
コメント