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ニューズレター 2024年4月

国連「後」の生き方

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少し前、もしかしたら自分のキャリアの上で、大きな節目になっていたかも知れなかったことを思い出しました。

 

ハーグ市のある国際機関で、七年間という規定任期を終えたばかりの元同僚のソーシャルメディア投稿を見たのです。 この同僚は、2017 年に私よりひと月だけ前にその機関で働き始めた人でした。任期満了を祝う投稿を見て、もし私が同じ機関で働き続けていたら、今頃自分この機関からの「卒業」を祝っていたのかも知れないなあ、と思ったわけです。

 

ところが実際には、私は二年半前の2021年8月にこの機関から去りました。その半年前の3月に上司に辞職の意向を伝え、その直後に目に入ってきた大学講師募集要項に心を躍らせ、9月から大学で教える仕事に就くと同時に、コーチングとファシリテーションという個人事業に力を注ごう!と心勇んでいました。蓋を開けてみると、これがとっても大変だったのです。大学生に教えるという仕事はまったく初めての経験でしたし、起業家としてやっていくこともまったく新しい世界でした。

 

結局は、それまで国際機関で培った自分のスキルと知識を少し調整して使ってみたり、まったく新しいスキルと知識をがむしゃらに得ようとしながら講義の準備をし、この新しい役割に自分を慣らしていくことにほとんどの時間を費やすことになりました。正直、 バーンアウトの症状ではないか、と感じることもありました。少し経ったら自分の事業にもっと心を注ぎ、時間も使えるようになることを希望的観測してなんとか奮闘し、二年があっという間に過ぎました。

 

ようやく突破口を感じたのは昨年の9月から始まった新学期になってからでした。 大学講師として仕事と役割にだいぶ慣れてきたことを実感する一方、夏くらいからはコーチングの事業が広がっていくことも感じられました。ファシリテーションについてはまだまだこれからなのですが・・・。もちろんまだ様々な課題があるのですが、それでも何より、今の自分の立ち位置と、向かっている方向にとっても満足しています。

 

同時に、「国連職員」や「国際公務員」という、以前の自分のアイデンティティーを距離を持って眺めることができるようになっていることに気づきました。今では、このアイデンティティーはどこかに置き忘れて必死に見つけようとしているお気に入りの服というよりは、懐かしくも遠い思い出のようになりました。もちろん今でもたまに、なくした服を思い出してさみしく思うことはありますけど。

 

2021年3月に辞める意向を当時の上司に伝えた瞬間から突然感じ始めたのは、ある種の自由と解放感でした。それは、職務内容や役職の制約を超えて、自分の考えを表現したり、想像を膨らませたり、また実際に行動に起こしてみたりする自由です。 それは、組織の壁やあらかじめ定義されている役割と上下関係といったことを超えて人と本当のつながりや関係を築く自由であり、所属機関のマンデートを超えてグローバルな社会課題についてより包括的に思いを巡らしてみるという自由でもあります。そして何よりも、自分が大切だと思うことを自由に表明し、自分が心からやりたい、楽しい、と感じることを本当に日々やっていけるという自由です。こういった自由がある生活をすることで、自分の足が地にしっかりとついているなあと感じられます。

 

一言で言うと、世の中を眺めるレンズが変わり、見えてくる景色もまったく違うものになりました。

 

上の写真は、2003年にヨルダンのワディラム砂漠で撮った、日の出を眺めている私の写真です。ワディラム砂漠は大好きな場所の一つですが、私にとって夢の仕事だった国連機関での仕事に就いた最初の任地ヨルダンで広大で豊かな砂漠と地平線の彼方には、様々な可能性に満ちた未来待っているようでした。そして、今日見るこの写真の地平線と砂漠は、今現在、まったく違う状況で私が享受している解放感と自由を象徴していてくれているように思います。

 

あなたにとっての地平線、砂漠はどんな場所ですか?どんなふうに、どんな気持ちでその場所を眺めていますか?時々、誰かとその眺めを共有したい、一緒に眺めたいと思うことはありませんか?もし良かったら、一緒に眺める相棒(コーチ)としてあなたのサポートをさせてください。

コーチング体験セッション予約はいつでもこちらからどうぞ。

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