内向性の人の力
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- 2023年9月10日
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更新日:1月5日
オランダでは「新学年」が始まりました。キャンパスで新入生のキラキラした瞳を見ていると、夏休み中に癒えきらなかった前年度のストレスも一気に吹き飛ぶようです。
写真は新学年が始まった高校生の頃の私、4月。日本では新学年の始まりは4月です。
新学年の始まるこの時期になると、多様な学習スタイルを尊重することの大切さを思い出します。
教室や会議の場でのあなたの「参加スタイル」はどのようなものですか?
イギリスとオランダの 大学院で学び、国連機関で働いた 20 年以上の間、私自身結構苦労してきました。こういった組織では、いわゆる「西洋型」の参加スタイルが好ましいとされていたからです。
授業や会議の後、「なぜ何も言わないの?」、「なぜそんなに静かなの?」とよく尋ねられました。ある会議の後で、別の参加者から「あなたは(考えとか自分の持っている物を)共有するタイプじゃないんですね」と非難を込めてあからさまに言われたこともあります。
上司との業績評価の会話でもこのことはよく話題にあがり、もっと「積極的」で「精力的」になるよう上司からアドバイスされることもしばしばでした。
そんな経験をへて、コーチになって早、三年。大学講師になって、二年。
この間、コーチングのクライアントさんたち(東南アジア出身、女性も男性も)からこのトピックが挙げられることが一度ならずありました。彼らはそのような言葉をかけられたとき、どんなに落胆し、失望し、悔しく思い、自分の貢献をありがたがられていないと感じ、そして何よりも悲しかったかをシェアしてくださいました。そしてみな、その状況を「何とかしたい」、「自分を変えたい」、とおっしゃっていました。
ダイバーシティーアンドインクルージョンという言葉をよく聞くようになった近年、仕事や学習の場は、多文化に以前より敏感になり、個人個人の学習や参加の「スタイル」を尊重するようになっているはずです。でも、教室や会合の場では、依然として学生や職員が積極的であること、つまり積極的に発言をすることが期待されていて、それこそ本当に参加していることの証だと思われていると言うのはどういうわけでしょうか?
これは不公平だし、そもそも間違っていませんか?
数年前にスーザン・ケインの「内向型人間のすごい力―静かな人が世界を変える」を読んだ時、目から鱗がいくつも落ちただけでなく、文字通り解放された、と感じました。デビッド・リバモアから カルチュラルインテリジェンスを学んだことで、さらに開眼させてもらいました。
自分の考えを発声せずに、一人で深く考える人だっています。 そういう人にとっては、授業や会議で発言したり、他の人と議論したりすることが思考プロセスが妨げになることもあります。でも、彼らだってその人なりに積極的に参加しているのです。私もそのタイプです。
上のコーチングクライアントさんたちは、自分たちのスタイルに反してでも、どうやって声を上げ、教室や会合の場で「積極的に」参加しようとしているか、をシェアしてくれました。 私自身も、どうしたら自分の殻を破れるだろうかと、悶々と考えては挑戦していました。ほとんどの場合失敗してしまったけれど・・・。
そのようなとき、クラスの先生や会議の進行役が、参加者にはそれぞれの学習スタイル、参加スタイルがあるのだということにもっと敏感であってくれれば良いのに、と思っていました。
この時期だからこそ、講師として、ファシリテーターとして、コーチとして、このことを心に刻み、学生や参加者の多様な学習スタイルや参加スタイルを尊重することを、肝に銘じていきたいと思います。


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